涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
狭い店内には同級生がぎゅうぎゅう詰めで賑わっている。
席もだいぶ窮屈そう。
こんな学生が店を占領しちゃってていいんでしょうか。
東野さんはみんなと笑顔でコミュニケーションを取りながら、ジュースやら料理をひとりで作ってお店をまわしている。
……すごいなぁ。
「なん、東野さんに惚れたんか?」
聞いて来たのは圭都だった。
「なわけないやろ」
真顔で返した私に圭都がおかしそうに笑う。
「麗矢とは仲直りできた?」
「え?」
「幼馴染とごたごたしとったらイヤやろ」
この前のこと言ってるんかな。
「大丈夫。もう仲直りしたけん」
仲直りした……と思う。
というか、もとととケンカしていたわけじゃないし。
「ならよかった。麗矢とは長いん?」
「んーと……初めて会ったのは4才の時やったかな。お母さんと行った公園にレイがおったっちゃん」
レイも、彼のお母さんに連れられて公園に遊びに来ていた。
小さい子は不思議なことに、興味を持てばなにも怖がらずに壁を壊せる。