涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
バスに乗り込んでから向かう先は、幼い頃に私が育った田舎町。
……そう、私がレイと一緒に生きた町。
まだおるよね?
引っ越しとるとかないよね?
……レイ、早く会いたいよ。
会って話しがしたい。また昔みたいに。
無邪気に笑いあっていたあの時間に、できることなら戻りたいと思う。
「あっ、咲夜!こっちばい!」
バスを乗り継いで懐かしい風景があるバス停に降りた。
そんな私を待ち構えていたのは、私の母のお兄さんにあたる叔父さんだった。
久しぶりの再会に頭をペコッと下げた。
「よう一人で来れたな!」
「バカにせんどってください。これでももう15才っちゃけん」
「なんば言っとーとや。まだ15やろうもん。まだまだ子供たい」
どこかお母さんに似た笑顔を見せる叔父さんの車に乗り込んで道路とも言えない土の上を走った。
……あんまり変わってないかも?
8年ぶりの故郷に、記憶を必死に辿った。