涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
〈6〉ナミダ色の空に
「……ない」
次は体育の授業だから体操着に着替えようと机の横にかけていた袋を取ろうとして気がついた。
体操着がないことに。
……確かに、今日の朝まではあったはずなのに。
おかしいな。
「咲夜ちゃんどうしたん?」
ムダに焦ることもなくただ眉を中心に寄せていた私に話しかけて来たのは、真理ちゃんだった。
「あー……。なんか、体操着忘れたみたいやから私サボるわ」
制服のまま行って怒られるのが正直めんどくさい。
「そうなん?わかったぁ!じゃあ先生に聞かれたら具合悪そうでしたって適当に言っとくけんっ」
「ありがとう」
真理ちゃんが「ううん」と言って、女子たちみんなで教室を出て行くのを見送った。
「咲夜は行かんの?」
「体操着がないけん行かん」
私の様子に気づいた圭都が心配してくれてるみたいに眉を下げていた。
ふっと笑って見せた。
「忘れただけやから大丈夫やし」
「んなら、いいんやけど……」