涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
窓際の、誰かの席について頬杖をついて青空を見上げた。
……きれー。
心が浄化されるように落ち着いてくる。
柔らかい春の日差しと風が、最高に心地いい。
空をゆびをさしたら、頬が自然と緩んだ。
雲がゆっくり動いている。
「サク?」
ーービクッ!
急に後ろでした声にびっくりして咄嗟に手を引っ込めた。
廊下の方を見るとそこには、
カッターシャツの袖を少しだけまくって、キョトンとこちらを見ていらレイがいた。
な、なんでここに……?
「体育は?」
「……サクこそ」
「私はサボりやけど……」
「俺も」
レイはそう微笑んで私の座る前の席のイスの背もたれにうっかかるように腰を下ろした。
レイと……二人きりって……。
ドキドキする……。