涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
あいつに壊された8年間。
あいつに粉々にされた私の心。
レイと再会できれば、壊れた私の心も戻るかなって思ってた。
幸せに、なれるかなって
笑えるようになれるかなって
そう、思ってたんだよ……ーーーー。
レイが好きで苦しいよ。
あの優しく笑う顔が好き。
優しく私を呼ぶ声が好き。
空をゆびさす、あの温かい手が、好き。
だけど、
そのどれもが私のモノじゃない。
私はレイの彼女じゃなから。
ただの、幼なじみだから。
レイのすべては真理ちゃんのモノ。
……あぁ、助けて、誰か。
酸素が逃げて行くように呼吸が苦しい。
レイ……助けて……。
呼吸がだんだん荒くなって、吐くばかりで吸えなくなる。
息が、できない……。
フラフラしたおぼつかない足どりでトイレを出たところで視界が真っ白になって私の意識が遠くなる。
『ーー…っ!サク!?サク!?』
最後に見たのはレイの青白い顔と、私を必死に呼ぶ声だった。