涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
優しく包み込むような微笑みをレイは浮かべるけど、私の涙は止まらない。
「泣かんで、サク」
ゆっくり抱き寄せるようにして背中をさするレイの身体にしがみつく。
消えちゃやだよ…レイ……
「レイは、いなくならんよね……?」
お母さんみたいに。
私をひとりにせんよね?
「……うん。約束する」
良かった。
レイが、ゆっくりと立ち上がって私の手を握る。
ぎゅ…っ。
「ほら、もう帰ろう。風邪引くけん」
「うん……っ」
涙か雨か、顔についた水を手で拭ってイヤな予感をムシするように笑ってみせた。
そして小さい頃に戻ったように手を繋いで、その日は帰宅した。