涙が枯れるまで
~出会い~
とある平日の午前中、年度末の忙しさから開放された僕は
缶コーヒーを片手にデスクで会議の資料をまとめていた。

突然、隣のデスクの阿部が小さな声で僕に向かってこう言った。

「おい鈴木、今日カワイイ新入社員が入ってくるらしいぞ」

「ふーん・・・。」

「なんだ鈴木、あんまり乗り気じゃないな。」

「おい阿部・・・お前はいっつもそんな事ばっかり言ってるな。だから彼女に逃げられるんだよ」

そんないつものお決まりのような冗談を交わしていた時だった。

「おーい、鈴木君」

部長の前原が少し離れた席から声をかけてきた。

「鈴木君、今日からウチで働いてもらう事になった安藤君だ。
安藤君、わからない事があれば鈴木君に聞きたまえ、彼は面倒見が良い男だからな」

「初めまして!今日からお世話になります安藤春子です。」

「あ、こちらこそよろしく」


これが僕と安藤春子との出会いだった。
その日は春らしく優しい風が吹いていた。



< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop