君の手を掴みとる
 彼女の喉元に剣を押しつける。

「っ」
 
 汚れを知らない処女雪のような白い肌から血が流れでる。
 真っ白な雪に鮮血の華が咲く。
 ああ、とても綺麗だ。

「フィラ様! ロスト! 貴様!」

「くくくく。その顔が見たかった! 最高だ! さあ、これ以上姫を傷つけられたくないなら道をあけろ!」

 奴らは苦々しげな顔をしながらも、直ぐに道をあけた。
 脆い。
 守るべきものを捕られたら、どうしようもなくなるなんてな。

「ロスト、お前は狂ってる……!」

「狂ってる? 今更気づいたのか? ああ、そうだ、俺は狂ってる! でも、俺を狂わせたのはお前たちだ! ざまあねーな、この事態を巻き起こしたのはお前らなんだよ!
さあ、こいよ姫! 俺を追ってきたら姫がしぬと思え!」
 
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