Dear
「…あ」
気づけば制服の袖が青くなっていた。
「ついちゃった」
油絵の具は、すぐに洗わないと取れなくなる。
「ケホケホッ」
雪は咳き込みながら席をたって水道に向かう。
「雪音、どうしたの?」
「初野ちゃんどしたの?」
里麻と圭先輩に声をかけられ振り返る。
「絵の具ついちゃったんで、洗っ…ゲホゲホッ…て…洗ってきます。ケホッ」
「雪音、大丈夫…?」
「ケホケホッ…大丈夫だよ」
雪はニコッと微笑むと、もう一度二人に背を向け…
その瞬間、ぐにゃりと世界がゆがんだ。