可愛い娘には裏があった
第零話 プロローグ
 突然だった。
 いや、突然だと思ったのは俺だけで、天羽(あまは)はこのタイミングを狙っていたんだ。

 周りの喧騒がやけに煩く耳に入ってくる。
 でも、俺と天羽の間には言葉がない。
 正確には俺は天羽の言葉に対する言葉を考えていて、天羽は俺の次に発する言葉を待っているから言葉がないんだ。
 
 天羽は若干俯きながらも俺を見てくる。
 そのせいか、天羽は上目遣いとなっている。
 クラスで一番可愛いと言われているだけはあって、流石にクラッときてしまう。
 もしかしたら学年、あるいは学校一かもしれないが。

 一緒にいて欲しい、か。
 天羽が俺に好意を抱いているのはなんとなく気づいてはいた。
 天羽は俺と一緒にいたいと思っている。
 じゃあ、俺は?
 そう自分に問うてみた。
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