可愛い娘には裏があった
 天羽凛夏(りんか)。
 クラス一可愛いくて、人気が高くて、お淑やかな美少女である。
 今日も今日とて例外ではなく恐くなるくらい可愛い。
 昨日のことを知らなければ、俺も素直に可愛いなーという感想しかでなかっただろう。

「ちょっといいかしら?」

「あ、うん」

 なんだろう。
 笑顔なのに恐い。
 しかも、優しく許可を求めてきたのはずなのになのに、なぜか強制な感じがする。
 昨日の天羽さんを見ているからだろうか。
 嫌な予感しかしない。

「ごめんね、谷風君。一色君をちょっと借りるわね」

「は、はい! もう好きにしちゃってください!」

 ふにゃけた顔をしながら天羽さんにのたまう谷風。
 おい、ふざけんな。
 俺の身柄を勝手に許可すんな。
 お前は俺の主人か、と言いたい。
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