可愛い娘には裏があった
 恐ろしい。
 逆にとぼける方が正解かも。
 もしかしたら、いつもの天羽さんに戻って、「あら、そうなの。私の勘違いだったみたい。ごめんなさいね、一色君」なんて言って、ことがすむかもしれない。
 よし、とぼけよう。
 昨日のことはなかったことにしよう。
 きっと天羽さんもそれを望んでいるに違いない。

「な、なんのことかな?」

 俺がそう答えた瞬間、天羽さんの顔が怒りに歪む。
 あれ?
 もしかして俺間違えた?
 俺の予想と違う。

「とぼけんな!」

「ひぃ」

「あんたは、昨日私のことを見たはずよ!」

「はい見ましたすいませんでしたあああぁぁ!」
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