可愛い娘には裏があった
 クラス内の立場を悪くしたくないなら、結局天羽さんの言に従うしか術はない。
 
 もう、最悪だよ。
 なんだこの性格の悪い奴。
 誰かだよ、こいつ。
 本当に天羽さんか。
 いや、さんなんていらねー。
 もう呼び捨てにしよう。

「わ、分かったよ。言うとおりにするよ、天羽」

「なに『さん』外したの? まあ、いいけど。私も私のことを知ってるやつから『さん』をつけられるのは疲れるし。
よし! 用事も終わったし、教室にもどるわよ」

 清々しい笑顔を浮かべて教室を出て行こうとする天羽。
 やはり怒った顔より笑顔の方が可愛い。
 こっちも威圧感がなくなってほっとして、嬉しいこと尽くめだ。

 それにしても、天羽がこんなことするなんて。
 俺の幻想が儚く消えたよ。
 正に人の夢だよ。

「あ、そうだ!」
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