可愛い娘には裏があった
 天羽の脅迫がようやく終わって、ホッとしているところ、天羽がUターンをしてこちらに戻ってくる。
 ものすごい笑顔である。
 怒っているよりはいいが、全然いい予感しかしないんだが。

「一色の連絡先を教えなさい」

「……なんで?」

「あんたをいつでも呼び出せるようにに決まってるでしょ」

「俺はお前の執事か」

「なに、文句あんの? なら、今からさっきのことを実現してもいいのよ?」

「ないですすみません」

 逆らえない。
 もう天羽と二人で会ったことで俺の詰みは確定していたのだ。
 それを見こんで、天羽は俺をみんなが見ている教室で声をかけてきたんだ。
 こいつ、策士にもほどがある。
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