「近未来少年少女」




俺は住所を忘れて困っていた事をシオリに言った。


『もう、ユウキの家は五番街の2―32でしょ?』


何故か呆れた顔をされてしまった。

仕方ないじゃん。まだ1回しか行った事ないしすぐには覚えられねーよ。


街灯が照らす五番街の家通りに着くと、シオリは次々プレハブを指さしていった。


『えっと、ユウキの家は……』


『なぁ、シオリ』

そんなシオリを見て俺はある事に気付いた。


『なんで一人で外にいたの?』

シオリの家は五番街じゃないし、今日はみんな自分の家に帰ったはず。するとシオリは少し言いづらそうにした。


『………今日色々私のせいで揉めちゃったからさ……
なんか家に帰っても落ち着かなくて……』


『別にシオリのせいじゃないよ。だからもう気にすんな』


あれは誰のせいでもない。


暫くして俺の家にたどり着いた。次からはちゃんと覚えなくちゃ。


『シオリ、ありがとな』

『ううん、じゃぁ……』


そう言って帰ろうとするシオリを何故か引き止めてしまった。


『ま、待って、えーと……家に上がっていけば?』


『え……?』


『だって一人で帰っても落ち着かないんだろ?』


それにまたカシワギとかに会ったら危ないし。


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