「近未来少年少女」
『………妹が青い小さな花の前で写真が撮りたいって言ってな……。この花、何の花か分かるか?』
その問いかけに俺は首を横に振った。
『この花は勿忘草って言うんだ』
『わすれなぐさ?』
『花言葉は【私を忘れないで】
まぁ、妹が花言葉を知っていたかどうかは分からないけど』
俺はリーダーから目を反らせなくなってた。
だって今にも泣きそうな顔をしてるから。
いつも強くて頼りになるリーダーが…………。
勿忘草、
花言葉は私を忘れないで。
青い小さな花に囲まれてる女の子の顔は優しい顔をしていた。
それはリーダーにとても良く似ていた。
リーダーの胸の奥に眠っていた想い。
リーダーがどうしてもここから出たい理由は、
この世界に居たら大切なモノを失ってしまうから。
それは大事にしていたモノ全て。
だけどリーダーは最後にこう言った。
『でも、それは俺の勝手なわがままなのかもしれない。1度は俺もこの世界に来る事を望んだんだから……』
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐俺もこの世界を望んだ。
自由になりたくて、
夢の国に憧れて。
『……で、でもここは夢の国なんかじゃないよ……』
俺が想像していた理想郷とは大きく違ったこの世界。
確かに外見や雰囲気は夢の国そのもの。
でも中身は……………。