「近未来少年少女」





『夢の国じゃなくても少なからずあいつらは………ガンタ、ユキ、ノリ、アンナ、シオリはここを夢の国だと思ってる』

リーダーの言葉が突き刺さった。


『家族に捨てられた奴、ずっと一人ぼっちだった奴、みんなここに来た理由は様々だけど……あいつらはこの世界に居る事を望んでる』


『…………』


『それなのに俺はこの世界を壊したいと思ってるなんて………言える訳ないだろ。あいつらには』


“夢の国”

自由で誰にも縛られない
子供だけの世界。

だけど、

それと引き換えに自由の記憶が無くなっていく。
忘れたくない記憶も全て。


ここの住人達は痛みや苦しみを抱えてる。

だからこの世界を選んだ。


嫌な事の方が多かったかもしれない。
辛い思い出の方が沢山あったかも知れない。

忘れたい記憶の方が強いかもしれない。


ここに居たら全て忘れる、忘れられる。


全部忘れて

楽になれる。


俺達にとって夢の国じゃなくても、
他のみんなにとっては夢の国。


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