追伸,私は生きています。
「さ、今日からここがほたるちゃんの部屋よ」

「……ここ、ですか?」


やっとついた古びた木造の大きな家は、
たくさんの部屋があった。

そのなかでも、案内された部屋は特に広かった。
私一人にはもったいない程。

それに、和柄で黒色が多い家具がたくさんあって、どれも私好みの物だった

「この家具は?」

わたしが聞くと桜華さんは、
ああ、これね、とつぶやいて笑った。

「姉さんのだよ。
ここは姉さんが結婚する前まで暮らしてたの。」

「……本当にここに住んでいいんですか?」

聞けば聞くほど遠慮したくなってきた。
倉庫みたいなところに住まわせられるのを覚悟していたというのに、
…いや、流石にそこまではないだろう、
でもあのDV親父と一緒に過ごしてると自分はそんな扱いのがふさわしい、とか
むしろ自分はそういう扱いしかされてはいけないとも思えてしまう。
洗脳ではないと思いたい。


「勿論よ。
娘ができたみたいで嬉しいわぁ…
男と結婚するなんて絶対嫌だけど、
娘はずっと昔から欲しかったんだもの」

「………でも」

「遠慮されると困っちゃうな?」

有無を言わさぬ、と言った満面の笑みで言われ、
私は渋々ため息を漏らした。

「……………分かりました。
じゃあ、これから宜しくお願いします」

それを聞いた途端子供のように笑い、
桜華さんはぱんっと手を合わせた。

「うん!よろしくね!」
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