追伸,私は生きています。
雨
ふと、花の香りの奥におかしな匂いを感じた。
どこか鉄のような、生臭いその香りは、
嗅いだことのある馴染みある香り。
急いで目をあけて飛び起きる。
先程まで眩しいほど輝いていた草木に映る光の粒は力を失ったように減って、薄くなっていた。
空を見上げてみれば、
相変わらずの木の葉の屋根。
しかしその上からは唸るような轟音が響いている。
ゴロゴロゴロ、と真上で聞こえるその音は、
まだ雷が落ちるほどではないだろうが、
このままでは確実に落ちてくるだろう。
落ちるか落ちぬか、
どちらにせよこのままここにいるわけには行かない。
立ち上がり周りを見渡す。
「────あっ」
きょろ、きょろ、きょろ。
と、何度も確認するようにその場でくるくる回る。
確か桜華さんは、帰りはその辺を歩いている人に聞けばすぐわかる的なことを言っていたはず。
しかしこの状況は…………どうだろう。
あまりの開放感の楽しさに酔って、
森の奥まで鼻歌交じりに来てしまった。
まっすぐ来たとも断言できないし、
寝転がったせいで方向感覚がおかしくなったようだ。
これは迷子?……………いや、
これは迷子というより…世間一般では遭難というのではなかろうか、と考えたところで、
ぽたりと頬に何かが当たる。
そこを手で触れると、水の粒があったようで。
指先が見ずに濡れ小さく光っていた。
やばい。本格的に危険だ。
どこか鉄のような、生臭いその香りは、
嗅いだことのある馴染みある香り。
急いで目をあけて飛び起きる。
先程まで眩しいほど輝いていた草木に映る光の粒は力を失ったように減って、薄くなっていた。
空を見上げてみれば、
相変わらずの木の葉の屋根。
しかしその上からは唸るような轟音が響いている。
ゴロゴロゴロ、と真上で聞こえるその音は、
まだ雷が落ちるほどではないだろうが、
このままでは確実に落ちてくるだろう。
落ちるか落ちぬか、
どちらにせよこのままここにいるわけには行かない。
立ち上がり周りを見渡す。
「────あっ」
きょろ、きょろ、きょろ。
と、何度も確認するようにその場でくるくる回る。
確か桜華さんは、帰りはその辺を歩いている人に聞けばすぐわかる的なことを言っていたはず。
しかしこの状況は…………どうだろう。
あまりの開放感の楽しさに酔って、
森の奥まで鼻歌交じりに来てしまった。
まっすぐ来たとも断言できないし、
寝転がったせいで方向感覚がおかしくなったようだ。
これは迷子?……………いや、
これは迷子というより…世間一般では遭難というのではなかろうか、と考えたところで、
ぽたりと頬に何かが当たる。
そこを手で触れると、水の粒があったようで。
指先が見ずに濡れ小さく光っていた。
やばい。本格的に危険だ。