晴れ、時々、運命のいたずら



『名古屋のイベント、素敵でした。』



パソコンで打ち込まれた、ただ一言。


そして、名前は『H』。



(この前と同じだ。)



Hに関しても愛姫には少し心当たりがあった。


自作の団扇を振りながら一緒に歌っていた男性。


けれど、その男性は香織と手を振りあっていたので決して愛姫個人のファンではないらしい。


そうなると思いつくのは1人だった。



(黄色いパーカー…。)



穂乃花の後ろに隠れるようにして座っていた黄色いパーカーの男性。


キャップを被り顔が見えないように終始俯いていた。



(誰なんだろう。)



顔が分からないので自分の知り合いなのか特定出来ない。



「これからメディアへの露出が増えますので、怪しいと思った事は何でも言って下さい。」



島根が口を挟む。


愛姫はそれでもHからの封筒を捨てる事なく穂乃花からの手紙と共に鞄に片付けた。


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