晴れ、時々、運命のいたずら



「あれ?」



千夏は愛姫を残し、東京から帰って来てから、妹の京子の家がある坂出市で暮らすようになっていた。


仕事は清掃会社の派遣社員となり、毎日朝早くから高松市内にある会社の清掃業務を行っている。


その千夏が働いている会社の向かいに大きな病院があった。


玄関の清掃業務を終え、一息入れようと何気なく向かいの病院に目を向けると、1人の男性の姿が目に入った。


細身の体に良く似合う、Tシャツとジーンズ。


少し茶色い髪がさらさらと揺れている。



(あれは…、翔太君…。)



「しょーたくーん!」



呼ばれた声に反応し、翔太が顔を向けると大きく手を振っている女性が見える。



(おばさん…?)


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