晴れ、時々、運命のいたずら



「暫く見ないうちに大きくなったのね。」



千夏は、見かけた翔太を手招きして建物の脇で話し始めた。



「おばさん、いつ香川に戻ってきたのですか?」



「1ヶ月ほど前。私には東京の水は合わないみたい。」



苦笑いを浮かべる。



「翔太君は今何をしているの?」



「両親と高松に引っ越して来て、こっちの高校に行ってますよ。」



「そう。有紗が高校に行っていないから、高校生って感覚がなくて…。」



「有紗、頑張っているみたいですね。」



「知ってる?この前デビュー曲発売されて、色んなイベントにも呼ばれて頑張っているみたい。」



「良かったです。」



翔太から安堵の表情が見える。


その翔太の横顔を見ながら、千夏は気になっていた事を尋ねた。



「ねぇ、翔太君。」



「はい。」



「有紗から聞いたけど…。」



「何ですか?」



「ずっと連絡取ってないってほんとなの?」



千夏からの質問に顔色1つ変えずに答えた。


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