晴れ、時々、運命のいたずら



「ねぇ、穂乃花。」



帰り道。


宮崎穂乃花(みやざきほのか)はクラスメートの山梨真澄(やまなしますみ)と並んで歩いている。



「あっという間に1年生も終わるよ。これでいいの?」



「うん…。」



半年前。


千葉稔(ちばみのる)の事が好きな学級副委員長、岡山美咲(おかやまみさき)に仲良くするなと言われ、それ以降、穂乃花は稔と必要最低限な事しか話をしていない。



「副委員長に遠慮する事ないって。穂乃花、本当は千葉君の事好きなのでしょ?」



「…。」



自分の中で誤魔化し続けているが、稔の事が好きな事は自覚していた。



『俺は宮崎さんの事が好きだから!』



稔が言ってくれたあの時から。



「千葉君の事好きなのは私だけじゃないから…。」



「それでも、自分の気持ちに素直になった方が良いと思うよ。」



「ありがとう。でも、いいの。本当にこれでいいの。」



何度も自分に言い聞かせるように呟く。



「穂乃花…。」


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