晴れ、時々、運命のいたずら
喜びから恐怖へと一瞬にして変わる。
太一郎が陰に隠れて愛姫が戻ってくるのを待っていた。
「愛姫ちゃ~ん。ここなら誰にも邪魔されなくて済むね~。」
「た、たす…。」
「僕は香織ちゃんもいいけど、愛姫ちゃんの方が好きだなぁ~。」
愛姫を抱いている腕に力が入って行く。
羽交い絞めにされている為、声が出ない。
想像以上の力でどうする事も出来ない。
(助けて…。)
「ねぇ、愛姫ちゃん、僕はこれだけ愛しているのだから家に居れてもらってもいいでしょ~。」
「ぐ、ぐ…。」
夜の廊下は暗く、人の気配を感じない。
(お願い…。)
「愛姫ちゃんのお家ってどんな感じなのかな~。」
(誰か…。)
体の力が抜けていく。
(助けて…。)
意識が薄れていく瞬間だった。