晴れ、時々、運命のいたずら
急に締められている腕の力が弱くなった。
(何が…。)
太一郎の体が離れていく。
「え、え…。」
首元を抑えながらその場に座り込んでしまった愛姫は太一郎が何かの力で廊下を引きずられているように見えた。
(誰か、居るの…?)
シルエットが2つ見える。
1つは太一郎だ。
もう1つのシルエットは太一郎に向かって拳を振り上げたように見えた。
「な、何するんだよ!」
もう1つのシルエットに叫んだ太一郎だったが、殴られる恐怖に怯えながら逃げるように階段を下りて行った。
そのシルエットは太一郎が退散した事を見届けた後、愛姫に体を向けてゆっくりと近づいてきた。
(誰…。)
廊下の明かりに照らされるシルエット。
(あっ。)
服の色が見えた時だった。
「黄色のパーカー…。」