晴れ、時々、運命のいたずら
それは、名古屋でのイベントの時。
穂乃花、太一郎と共に気になった姿。
黄色のパーカーでキャップを深く被り、俯いたまま穂乃花の体に隠れるようにじっと座っていた。
その黄色のパーカーを着た男性が今、自宅マンションの廊下にいて、近づいてくる…。
「こ、来ないで…。」
小さな声で伝えても男性は止まる気配がない。
再び、恐怖感が体中を襲う。
「け、警察呼びますよ。」
黄色いパーカーに深く被ったキャップ。
(間違いない、あの時の男だ。)
座ったまま後ろへ下がって行く。
「助けたのにそんな言い方はないだろ。」
始めて男性が声を出した。
「久しぶりだな、富山愛姫。いや、徳島有紗。」
(私の本名を何故…。)
「あなたは…、一体…?」
愛姫が問いかけると同時にパーカーの男性はくるりと背を向けそのまま去って行った。