晴れ、時々、運命のいたずら
枕元に置いている携帯が震え、メールが届いた事を知らせた。
『Shipが今週のチャートでベスト10入りしました。嬉しいです。宮崎穂乃花。』
半年前。
綺麗だと噂で聞いていた松本城を見に行った際に出会った中学1年生の宮崎穂乃花。
その後、偶然にも名古屋でのShipのイベントで再会した。
穂乃花はShipのファンで、愛姫の歌声が好きだと言っていた。
徳島有紗と、福岡翔太(ふくおかしょうた)は幼馴染。
中学卒業後、有紗は翔太の隣に相応しい女性になると誓い、上京して行った。
そんな有紗に翔太はこんぴらさんの幸せの黄色いお守りを渡し、必ず迎えに行くと約束した。
有紗は富山愛姫と名乗り、アイドルとしてデビューした。
翔太は全く連絡を取っていないが、テレビ・ラジオ等を通して一歩ずつ階段を上って行く愛姫を感じながら、自分自身の幸せに置き換えている。
穂乃花には、名古屋でShipの情報があれば教えて欲しいと電話番号とメールアドレスを伝えた。
最近、穂乃花は自宅のパソコンを使えるようになり、色々Shipの情報をメールで送ってくれる。
『いつもありがとう。福岡翔太。』