晴れ、時々、運命のいたずら



雲1つない空。


眩しい太陽の光。


その全てを体中に感じる事が出来たのはいつ以来だろうか?


翔太は麦わら帽子を被って病院の外にあるベンチに静かに腰を下ろした。


白血病になってから初めて、病院の建物から外に出る事が出来た。


この半年間の入院生活での不安、絶望、恐怖は計り知れない。



(1人で病気と闘う事がこんなにも辛いものなのか…。)



麦わら帽子を被っているのは抗がん剤の影響により抜け落ちた髪の毛を隠す為。


体重もかなり減少した。



(俺の生き甲斐は…。)



新聞やメディア、穂乃花からのメール等で知るShipの活躍。


愛姫の活躍。


右手を胸に当てゆっくりと目を閉じる。



(有紗…。)


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