晴れ、時々、運命のいたずら
「え?翔太君??」
何かをする訳でもなく、じっと眼の前を通る人達を眺めていると突然声をかけられた。
「どうしたの?」
千夏が作業服のまま、驚いた顔で近づいてきた。
千夏は翔太が白血病検査を受けた日に向かいのビルで清掃作業をしており、偶然に出会っていた。
(正直に伝えるしかないかな…。)
隣に座った千夏に軽く頭を下げる。
「ねぇ、翔太君。かなり痩せたんじゃない?」
「ええ。」
千夏から見た翔太は明らかに細く、顔色は青白く見える。
その翔太の顔を見て、千夏は先日の事を思い出した。
「そういえば…。かなり前に鼻血が出るから診察受けたって言ってたわね。もしかしてそれと…。」
「僕は…。」
一旦区切って呟くように伝えた。
「白血病なんです。急性リンパ性白血病。もう入院して半年になります。」
「白血、病…。」
「今日、入院してから初めて外に出る事が出来ました。」
「そうだったの…。」
千夏の顔が少し曇る。