晴れ、時々、運命のいたずら
「でも安心してください。もうすぐ退院出来そうなんです。」
その言葉で千夏の目が輝く。
「じゃあ、治るの?」
「まだ…、分かりません。通院はしなければなりませんし、また、入院するかもしれません。」
「そんな…。」
千夏が口元を手で隠す。
翔太の言葉を聞くたびに顔色を変える千夏を安心させるように優しく微笑む。
「僕は大丈夫です。それより…、有紗、活躍しているようですね。噂では聞いています。」
「…ええ。」
「おばさん。」
翔太は座り直して千夏に体を向け、じっと見つめた。
「僕の病気の事…。」
「…。」
「絶対、有紗には言わないで下さい。お願いします。」
深く頭を下げる。
「今、僕の事で有紗には迷惑を掛けたくないんです。」
「…迎えに行く約束。しているのよね?」
「はい。僕は必ず迎えに行きますので。」
真剣な表情の翔太を見て、それまで辛い表情を見せていた千夏もようやく笑みをこぼした。
「分かったわ。有紗には言わない。早く治るように祈ってるわ。」