晴れ、時々、運命のいたずら
愛姫にとって寝耳に水とはまさにこの事だ。
「元々、香織と愛姫にはShipとして経験を積んでもらって、最終的にはどちらか1人を真のアイドルに成長させるってプログラムになっていたの。黙っていた事は謝るわ。けれど、デビューからずっと見て来て、2人とも本当によく頑張ってくれた。それは間違いないわ。」
(どちらか1人…。)
少し伏し目がちになった愛姫と対照的に、香織は自分が残るはずだと余裕の表情を浮かべている。
「あの…、残らなかった1人はどうなるのですか?」
「残念だけど、うちのスタイルには合っていなかったって事。けれど、これで終わりにはしない。もし希望するなら私が責任を持って、別の事務所と交渉するわ。」
(別の事務所…。)
香川から上京してきた愛姫にとって、コールドプロモーション以外の事務所で活動する事など全く想像出来ない。
香織と島根と二人三脚でやっている事が当たり前だと思っているから…。
「島根さんはどう思っているのですか?」
不安な気持ちが質問を多くさせる。