晴れ、時々、運命のいたずら
自分の知らない所で家族が自分の為に動いていた事が嬉しくもあり、申し訳なく思う。
「母さん…。」
千夏とは何かあれば連絡を取るようにしている。
最近は引っ越した事を連絡していた。
「兄さんは、母さんから引っ越した事聞いたんだね。」
「そうだ。有紗の住んでいる所、ゴールドプロモーションの事務所の場所。イベントする場所。全て知っている。」
「そうだったんだ…。」
「だから、この前、変なオタクっぽい奴が家に訪れた時も気付いたし、今日もここに来ていた。」
「うう…。」
2人が話している横で気を失っていた島根が頭を押えながらゆっくりと起き上ってきた。
隼太が立ち上がって身構える。
島根は愛姫と目が合っても何も言わず、そのまま立ち上がり、玄関に向かおうとした。
「島根さん!」
その言葉に立ち止まる。
「明日からも、宜しくお願いします。」
島根の背中に向かって叫んだが、島根は何の反応も示さずに壁を伝いながら玄関から出て行った。
「あの男を許すのか?」
「…うん。」
「どうして?」
不思議そうな顔で隼太が尋ねてくる。