晴れ、時々、運命のいたずら



夕暮れに近づくにつれ、西の山々に隠れて行く太陽の光が千曲川の水面にキラキラと輝く。


穂乃花は1人、袂に腰かけると、ノートを開いて千曲川を眺めた。



『川の流れのようにあなたは広大な海へと行ってしまうのでしょうか?』



『広大な海では私の心は目に見えないほど小さなもの。気付いてもらう事も出来なくなる…。』



(もう半年、か…。)



「宮崎さん。」



後から声を掛けられた。


振り返ると、稔が微笑みながら近づいて来るのが見えた。


そのまま穂乃花の前に立ち止り、優しい目を向けてくる。



「ごめんね。いきなり呼び出したりして。」



「…いえ。」



「半年前。」



千曲川に視線を移す。



「宮崎さんの事、好きって言ったのもここだったね。」



「…そうだったね。」



「俺…。」



稔の次の言葉で穂乃花は頭が真っ白になった。


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