晴れ、時々、運命のいたずら



「転校する事になったんだ。」



「え?」



「来週。」



「来、週…。」



「父さんの仕事の都合でね。埼玉に行くんだ。」



「…埼、玉。」



北海道から長野に転校して来た穂乃花には転校する辛さが痛いほど分かる。


遠ければ遠いほど…。


友達にも会えなくなる。


好きな人とも…。



「そんな…。」



「でね、今日は俺の最後の我が儘。」



視線を穂乃花に移すと、ポケットから小さな白いお守り袋を取り出した。



「これは…。」



「これを受け取ってくれないかな?」



渡された手のひらに乗るほどの小さなお守り袋。


中を取り出すと、真っ赤なお守りが出てきた。


黒い文字で「力」と書いてある。


< 184 / 313 >

この作品をシェア

pagetop