晴れ、時々、運命のいたずら



「香織は健人さんの所へ行くの?」



愛姫は目の前でジュースを飲んで座っている香織に話しかけた。


もう、携帯を触る事もしていない。



「ううん。健人に迷惑かける訳にはいかないから。週刊誌には書かれたけど、暫くは地元で大人しくしている。一応、顔指されるかもしれないしね。」



若洲公園での一件以来、香織は愛姫と2人になっても以前のように厳しい言い方をしなくなっていた。


何か、吹っ切れた表情に見える。



「島根さん、辞めるそうよ。」



普通に伝えてくる香織に愛姫は逆に問いかけた。



「香織は島根さんの事何も思ってないの?」



「何も、って?」



香織が怪訝な顔で聞いてくる。



「いや、何でもない。」



あの夜、島根に襲われた事で不思議と親しみが湧いてきている。


< 194 / 313 >

この作品をシェア

pagetop