晴れ、時々、運命のいたずら



(島根さんは香織を守りたかっただけなのに…。)



人間らしい一面を見せた島根と仕事を続けたいと思っているだけに、辞める事は愛姫にとっても残念でならない。



「すみません。本番ですので宜しくお願いします。」



ADがノックして入ってくると声を掛けてきた。



「愛姫、今まで本当にありがとうね。これでも感謝してるんだ。」



少しハニカミながら笑う香織を今までで一番愛おしく思える。



「何だか、香織から優しい言い方されると逆に調子狂うな。」



「何よ、その言い方。田舎者のくせに!」



「やっぱり、そっちの口調の方が落ち着くよ。」



思わず顔を見合って笑い合う。



(香織…。)



結局、最後まで香織には勝てなかったと思う。



「こちらこそ、本当にありがとう。」


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