晴れ、時々、運命のいたずら
(ここだ、間違いない。)
帽子とマスクを取り、インターフォンを押す。
『はい。』
「突然申し訳ありません。私、富山と言います。穂乃花さんはいらっしゃいますでしょうか?」
インターフォンからの返事に代わり、玄関が開いて初老の女性が姿を現した。
「穂乃花は、まだ学校から戻っておりませんが…。」
「そうでしたか。」
その女性は愛姫の顔を見て何かを思い出したようだ。
「あの…、あなたのお顔…、どこかで見た事あるような…。」
「東京で歌手をやってます…。」
「もしかして、穂乃花が好きだと言っていたアイドルさん?」
「はい。」
「それはそれは、失礼致しました。穂乃花はまだ帰っておりませんが、さぁ、どうぞ。」
慌てた様子でその女性は愛姫を家の中へと招き入れた。