晴れ、時々、運命のいたずら



「穂乃花ちゃん、喜ぶだろうな…。」



その呟きに愛姫も自然と笑顔になった。



「それにしても、ここまで大変だったでしょう。なにせ何もない田舎ですから…。」



「私は香川県出身でして、同じように何もないので思わず故郷を思い出しました。」



「そう。香川県って瀬戸内海があって、とても綺麗なんでしょうね。長野は海がないから海がある県は憧れますわ。」



フフフと益栄が微笑む。



「ここで待って頂いても結構ですけど、きっと穂乃花ちゃん、千曲川の河川敷にいますわ。いつも学校終わった後、川を眺めていますから。」



「千曲川…。」



「川の流れを見ているとポエムがたくさん浮かぶらしいの。」



いつも手紙にはポエムが書かれてある。



(私に送ってくれるポエムはいつも千曲川を見ながら書いてくれているんだ…。)



「ちょっと待ってて。」



益栄は一度席を外した後、1枚の写真を持って戻ってきた。



「これが穂乃花ちゃん。」



家族でどこかに出かけた際に撮影した写真。


一番右端で少し恥ずかしそうにピースサインをしている少女が写っている。



(この子が穂乃花ちゃん…。)



「ありがとうございます。この写真お借りしてもいいですか?」



「ええ。」



「穂乃花ちゃん、千曲川の河川敷で待ってみる事にします。」


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