晴れ、時々、運命のいたずら



「実は、今週末で千葉が転校する事になった。」



担任が正式に稔の転校をクラス中に告げた。


えー、っと言う声と共に、クラス中がざわつき始める。



「みんな静かに。また、最後の日に改めて挨拶して貰うから。今日はここまで。」



放課後、クラスメイトの男子達が千葉を囲んで話しかけている。



「何で言ってくれないんだよ。」



「寂しくなるな~。」



その言葉1つ1つにハニカミながら稔が答えている。



(あと、4日…。)



鞄に入っているお守り。


稔が力と知恵をくれる神社を探し、福井県まで貰ってきたお守り。



(私、千葉君にこれだけして貰っているのに、自分の気持ちに嘘ついたままでいいのかな…。)



その時、美咲が稔を囲んでいるクラスメイトの間を割って行くのが見えた。



「千葉君、ちょっといいかな?」



「うん。」



美咲に促されて、そそくさと片づけを終えると、稔はそのまま後ろをついて教室を出て行った。



「気になるんじゃないの?」



真澄に小声で囁かれ、はっと我に返り、美咲と稔が出て行った扉を見つめる。


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