晴れ、時々、運命のいたずら



「では、最後に千葉から挨拶をしてもらう。」



転校する稔の最後の日がやって来た。


担任に促され、稔が教壇からクラスメイトを見渡す。



「えー。」



皆が固唾を飲んで見つめている。



「えー。」



「早く言えよ!」



からかうように促す声が聞こえる。



「今までありがとう!」



「それだけかよ。」



「こちらこそありがとうな!」



クラス中に笑い声と掛け声が入り混じる。



(千葉君、みんなに愛されていたんだね…。)



片隅の席から稔を見つめながら、穂乃花は机の下からある物を取り出した。


そして放課後。


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