晴れ、時々、運命のいたずら



「千葉君!」



教室を出ようとする稔を美咲が呼び止める。



「ん?」



「最後だから一緒に帰ろ!」



「ああ。」



2人が並んで教室を出て行く。



「ほんっとに副委員長は自分勝手なんだから。」



席に座っている穂乃花の横で、真澄が少し怒りながら独り言を呟いた。


そのまま顔を穂乃花に向けて軽く肩を叩いた。



「穂乃花、何やってるの?今日で最後だよ。行かなきゃ。」



「うん、分かってる。」



小さく呟いて席を立つと、真澄にありがとうと一言伝え、後を追いかけるように教室を飛び出した。



(私だって、本当は…。)



どれだけ美咲に言われようが、キスをしていようが、そんな事はどうでもよかった。



(松本城、本当に楽しかった…。)



始めて2人で行った松本城の記憶が蘇る。


そして、愛姫の顔も浮かぶ。



(私は素直になるね。愛姫さん…。)



「千葉君!」



稔と美咲が並んで校門を出ようとした所に追いつき、後ろから声を掛けた。


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