晴れ、時々、運命のいたずら
「良かったですね。今日で無事退院ですね。」
「はい、お世話になりました。」
入院から担当してくれていた看護師さんに頭を下げる。
急性リンパ性白血病で入院してから半年以上。
翔太は抗がん剤や血小板輸血の効果もあり、経過も良好でついにこの日退院する事となった。
ただ、抗がん剤の影響で髪の毛が抜けている為、引き続き隠すように帽子を深く被っている。
「まだ暫くは通院、治療は必要ですが、根気よく頑張って行きましょう!」
「はい。」
医師からの力強い励ましを受け、病院から外に出る。
(やっと、退院出来た…。)
雲1つない青空がまるで翔太の退院を祝っているようだ。
「翔太君、退院おめでとう。」
突然声を掛けて来たのは愛姫の母、千夏だった。
「ありがとうございます。」
「もう大丈夫なの?」
「ええ。」
「でも、まだ暫くは治療が続きそうね。」
「そうですが、諦めずに頑張って行きます。」
にこやかに答える翔太に千夏はメモ用紙を1枚差し出した。