晴れ、時々、運命のいたずら



高崎駅を降り、バスに揺られて会場へと向かう。


愛姫から貰ったプリントには、14時開始となっている。


穂乃花はショッピングモールに入ると、早速イベント会場へ向かった。


エスカレーターの傍にある大きな広場。


吹き抜けになっていて、とても広く感じる。


すでに簡単なステージが作られていて、その前にパイプ椅子がいくつも並べられていた。



(名古屋を思い出すな…。)



Shipがデビュー曲を発売してすぐに開催したイベントを見に行った。


その時も今日のようなファッションモールでのイベントだった。


その時に見た、初めての愛姫の姿を今でもはっきりと覚えている。


その後、Shipは解散し、今日は愛姫の初めてのソロイベント。



(もっとたくさんの人達に愛姫さんの歌声を聴いて貰いたいな…。)



そう思いながら辺りを見渡す。


まだ開始まで1時間ほどある為、観客は少ないようだ。



(千葉君…。)



かすかな期待を胸に稔の姿を探す。



(いない、か…。)



失望感を抱きながらも穂乃花は一番端のパイプ椅子に腰かけた。


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