晴れ、時々、運命のいたずら
「と、言う事で、今日はトークショーですので。30分間、宜しくお願いします。」
「こちらこそ、宜しくお願い致します。」
ショッピングモールの担当者から伝えられ、愛姫はにこやかに返事をする。
(ソロになってから初めてのイベント。無事成功しますように。)
心の中で願いながら、控室を出てステージに向かって歩き出した。
「すみません、通して下さい。」
買い物客を制して係員が道を作ってくれる。
「あぁ、富山愛姫だ。」
「この子、テレビで見た事ある。」
両脇から声がかかる。
手を振ってくれる。
(私、たくさんの人に知って貰えているんだ。)
アイドルとして認知されている事に改めて喜びを感じる。
そして、にこやかに軽く頭を下げて歩きながらも、さりげなく辺りを見渡した。
(翔太、いないかな…。)