晴れ、時々、運命のいたずら



(空は1つに繋がっている。長野から、群馬から、埼玉へ。燕さん、ただ一言、ありがとう、とだけ、運んで下さい…。)



まるで穂乃花の思いに答えるように弧を描く燕達。


自然と笑顔が出てきた。



(ありがとう、燕さん…。)



その時、背後から肩を叩かれた。



(え?)



再度、軽く2度肩を叩かれる。



(この気配…。)



隣にいて感じていた空気。



(この空気…。)



忘れる事のない感覚。


胸の鼓動が高鳴る。



(嘘…。)



振り向く怖さがこみ上げてくる。



(今まで、あと一歩が踏み出せなかった。ここで踏み出せなければ…。)



一度目を閉じ、そしてゆっくりと開けると、覚悟を決めたように振り返った。


< 252 / 313 >

この作品をシェア

pagetop