晴れ、時々、運命のいたずら
(空は1つに繋がっている。長野から、群馬から、埼玉へ。燕さん、ただ一言、ありがとう、とだけ、運んで下さい…。)
まるで穂乃花の思いに答えるように弧を描く燕達。
自然と笑顔が出てきた。
(ありがとう、燕さん…。)
その時、背後から肩を叩かれた。
(え?)
再度、軽く2度肩を叩かれる。
(この気配…。)
隣にいて感じていた空気。
(この空気…。)
忘れる事のない感覚。
胸の鼓動が高鳴る。
(嘘…。)
振り向く怖さがこみ上げてくる。
(今まで、あと一歩が踏み出せなかった。ここで踏み出せなければ…。)
一度目を閉じ、そしてゆっくりと開けると、覚悟を決めたように振り返った。