晴れ、時々、運命のいたずら
高崎でのイベントの夜。
愛姫は新幹線で東京に戻り、赤坂にある大きなテレビ局の前で典子が来るのを待っていた。
19時から打ち合わせがある。
「ごめんなさいね。」
タクシーから降りると、1人で立っている愛姫の元に駆け寄る。
典子は腕時計をちらりと見て間に合ったと小声で呟くと、そのまま前を歩いて行く。
「あの、典子さん。」
典子の背中に向けて声を掛けた。
「何?愛姫ちゃん、ちょっと急がないと時間ないから。」
「典子さん、話があるんです。」
振り向きもせずに先へ進もうとする典子を再度呼び止める。
「分かった。後で聞くから、とりあえず今は急いで。」
典子に圧倒されて、愛姫は仕方なく少し早足で歩き出しだした。