晴れ、時々、運命のいたずら
扉をノックする音が響く。
「どうぞ。」
直美は書類に目を通したまま呟いた。
「失礼します。」
扉が開き、愛姫が入ってきた。
「あら、愛姫。何だか久しぶりね。」
少し暗い表情の愛姫を不思議に思いながら、直美は机の前のソファに座るように促した。
「社長、すみません。お願いがあるのです。」
今までになく、深刻な表情だ。
「どうしたのよ。」
「少し…、お休みを頂きたいのです。」
「休み?体の調子でも悪いの?」
「香川に…、香川に一度帰りたいのです…。」
目を伏せたまま伝える。
「どうしてまた急に?」
「私の…、私の大切な人が…。」
一旦言葉が途切れる。
「病気らしくて…。顔を見に行きたいのです。」
「大切な人?」
「はい。東京に上京する時に最後に会った人です。」
「それって、もしかして、あなたの彼氏?」
「…はい。」
小さく呟く答えを聞くと、直美は立ち上がって窓から外を眺めた。