晴れ、時々、運命のいたずら
「渋谷からどうやって来たのか全然分からなかったわ。」
地上へ出ると、千夏は辺りをキョロキョロと見渡しながら呟いた。
「渋谷から半蔵門線に乗り、青山1丁目で大江戸線に乗り換えました。」
島根が淡々と説明する。
「はぁ、そうですか…。」
説明を聞いてもあまり分かっていない様子だ。
「スタジオはこちらになります。」
島根が右手で方角を示しながら前を歩いて行く。
その島根の後を千夏と愛姫は見失わない様について行った。
「凄いおしゃれね…。」
両脇にそびえ立つ高層ビル。
ガラス張りの建物は見ている人に清潔感と高級感を与える。
「ここが東京ミッドタウンです。」
歩きながら島根が説明する。
「へぇ~。名前は聞いた事あるけど…。それにしてもゴールドタワーとどちらが高いかしら。」
「母さん、ゴールドタワーなんて誰も知らないわよ。」
「何言ってるのよ!ゴールドタワーは香川県のシンボルタワーなんだから。誰でも知っているわよ。」
「誰でも知ってない!」
2人のやり取りを無視するかのように島根は黙々と歩き続ける。
やがて東京ミッドタウンを抜け、1つ奥の路地に入った。
「何だかどの建物も凄くおしゃれ…。」
ため息交じりに愛姫も呟く。
東京は路地裏もおしゃれで閑静な雰囲気を醸し出していた。