晴れ、時々、運命のいたずら



(メールが届いている…。)



パソコンを立ち上げてすぐ、穂乃花は自分宛のメールに気が付いた。


差出人は愛姫だ。



『先日は、高崎のイベントありがとう。思いを伝える事が出来て良かったね。』



(こちらこそありがとうございます。)



『翔太の事も…。穂乃花ちゃん教えてくれてありがとう。実は翔太は、半年以上前から急性リンパ性白血病という病気で入院していました。』



(急性リンパ性白血病…。)



穂乃花にとって初めて聞く病名だ。



『すでに退院しているそうですが、高崎のイベント、必ず来てくれると言ってくれたのに、来ていませんでした。』



(やっぱり来てなかったんだ…。)



『私は、翔太とずっと一緒に居たいと思いながら今までアイドルをやってきました。
穂乃花ちゃんを始め、たくさんの方に支えられ、応援され、今の私があると思っています。
香織がいて、穂乃花ちゃんがいて、社長がいて…。
けれど、やはり、私は翔太の傍に居たい。
翔太と共に歩んで行きたい…。
翔太は私を迎えに行くと言ってくれました。
しかし、私も甘えてばかりでは駄目。
翔太に甘えてばかりでは駄目。
長野で穂乃花ちゃんに私が言った言葉。
「会えなくなって後から後悔するよりも、会えるうちに自分の出来る事、やり遂げた方が良いと思うな。」
その言葉に対して穂乃花ちゃんは、素直に頷いてくれたよね。
本当はその姿に私が背中を押してもらえたのだと思う。
だから、私が翔太を迎えに行く。』



(愛姫さん…。)


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