晴れ、時々、運命のいたずら



千曲川。


穂乃花の思いを落ち着かせるように、その流れはいつものように同じリズムで流れていく。


穂乃花は暫く川の流れを見つめたあと、手にしているノートを開いた。


今までの自分の思いを書き留めてきたノートは愛する人に渡している。


真っ新な何も書いていないノート。


その1ページ目にゆっくりとペンを近づける。


愛姫を思いながら、愛姫の心を思いながら書き込んでいく。



(愛姫さん…。)



1ページ目が埋まる程書き終えると、ノートの上に雫がポタリと1粒落ちてきた。


その雫は2粒、3粒…。


穂乃花は頭にも落ちる雫も気にせずに、ノートだけをじっと見つめる。



(愛姫さん、香川に戻って…。翔太さんの元へ…。)



降り始めた雨に当たりながら、傘も差さずに穂乃花は俯いて目を閉じ願い続けた。



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